色々な武術・武道・競技における数々の技には段階があるといいます。
最初から全て出来ないというのは人生と似ているかもしれません。
武道が道と言われるのも納得がいくというものです。
さて今回は正面打ちへの返し技、正面打ち三教(表)を紹介します。
1. 正面打ち三教(表)
正面打ち三教(表)は、相半身の姿勢から始まります。
そこから受け側が手刀を打つので、その手刀に対する返し技として練習をします。
絶対に起きてほしくない事ですが、両手で握れる獲物を持った相手が前にいる状態と同じかもしれません。
そう考えて稽古をすると緊張感が違います。
正面打ちでは、相手が前に出している足を踏み込みながら手刀を放ってきます。
相手が技に入るのに合わせて、相手に向かってこちらも前に出ましょう。
相半身の状態ですので相手とは逆の足が前に出ているはずです。
足の動きはこれで問題ありません。
ここから自分の足の動きと相手の振り上げる手の動きに合わせて技をかけます。
相半身の場合、上半身はTVの時代劇の侍が刀を持った状態の方を手放した状態と言えます。
刀を持たないまま刀を振り下ろす動きが正面打ち二教の上半身の動きです。
正面打ち三教(表)でもその他の教技と同じ様に意識してもらいたい事は、手を上に上げて下に降ろす動作である、という事に変わりは無いという事です。
手の振り方に関する詳細は、正面打ち一教にて紹介しましたので参考にして下さい。
正面打ち三教(表)では、振り上げた手を相手の肘と手首の近くにつけます。
一教と同じ様に相手の手を一緒に下に振り下ろします。
この状態では相手の手の平が天井を向いているはずです。
二教では相手の腕と手を返しつつ親指で親指を掴みましたが、正面打ち三教では手の握り方が違います。
三教では相手の手の平を手首付近に据えた手を添えます。
なお、掴めと教える道場もありますので、道場の方針に準じて下さい。
その後、肘付近にあてた手の親指で相手の親指を掴み、相手を上に捻りあげていきます。
あまり力を入れると相手の手首の骨が外れますので、受け手の反応には素直に応じて下さい。
この状態では相手は足が爪先立ちの様になり、力が入りません。
その後、親指を掴んでいる手を下に返せば相手の体も前に倒れていきます。
相手の体が前に倒れたら、添えていた手を相手の肘にあてます。
手を決めたまま、相手の前方に転身し後ろに下がれば相手は倒れます。
倒れた相手の肩を膝で挟み、掴んでいる手とは逆の手側の肘で相手の手の平を挟み前方に倒していきます。
二教とは逆の形で抑える訳です。
以上で、正面打ち三教(表)の流れは完了です。
2.正面打ち三教(表)上達のコツ
正面打ち三教(表)上達のコツは何でしょうか。
上達のコツは手の捻り方だと私は考えています。
これが上手く効いていないと相手は姿勢が崩れない為です。
コツは力を使わずに、移動する相手の重さを使っていく事でしょう。
例えば一度捻りを緩めてみて下さい。
当然痛みの少ない方へ相手は移動していきます。
そこで、移動してくる相手に対して手を少し逆に捻れば相手は手首で自分の体重を受ける事になりますので、必然的に体が崩れます。
力任せに捻りあげる方も多くいますが、相手の方が強い事を想定したとしたら技は成立しないでしょう。
以上、合気道経験者の考える正面打ち三教(表)と上達のコツでした。
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