合気道を歩む上で、大切な心のあり方となる自在心について経験を交えて紹介していきます。
先に断っておきますが、基本とは書きましたが、本当に体現できたとするならば初心者ではありません。
体現は難しいでしょう。ですが、心掛ける事は誰にでも可能です。
とある師範に教えて頂いた言葉です。
「強さや技術で明日から世界一になれと言われても、出来ない。しかし、今の自分が集中するべき物事への気持ちを世界一にする事は今からでも出来る。それは自分の中にある物だからだ」
学生時代に聞いた言葉ですが、今も強く記憶に残っている言葉です。
1.自在心
自在心…何だかカッコイイ響きだな、と感じるか敬遠するかは人それぞれかもしれません。
しかし、とても良い考え方なので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
心が自在になっていると書いて自在心ですが、これはどういう事なのでしょうか。
合気道の技は基本的に自分から仕掛ける事はありません。合わせ技、返し技です。
相手の力を利用するのですから、事が起きなければ何も起きる事はないという事です。
では、相手の力を利用できる状態とはどういう状態でしょうか。
型通り、決められた事のみ、例外はない、そんな状態でしょうか。
当然違います。相手に合わせられる自由な心、何かに捕らわれる事のない状態でなければいけません。
どの様な事が起きても、自然体でいられる、自然体になっている事ができる自由自在な心の有り様。
それが自在心という状態だと私は考えています。
1. 心理学で見る自在心
なぜ心理学がここで…と思われる方もいるかもしれません。
しかし、興味深い事例として紹介させて下さい。
「ある人Aに愛する人Bがいたとします。ある時Bが難病にかかってしまいました
現在のAは手が届かない金額の薬なら治せる事が分かりました。
Aは薬屋に頼み込みましたが、譲ってはもらえませんでした。
苦悩の末、Aは薬を盗んでしまいました。そしてBは助かります。
あなたはこの事例についてどう考えますか?」
という心理問題です。
この回答には一定のパターンが見られるそうです。
まず、幼年期に状態にある人の回答だと二つに分かれます。
一つは、「人を救うためだから仕方ない」。もう一つは「盗みは悪だからダメ」というものです。
問題とされている事に対して事実を元に判断をしていると言えます。
次に、青年期の状態にある人の回答ですが、同じく二つに分かれます。
一つは「盗みは悪かもしれない、でも人の命に変えられはしない」。もう一つは「命は大切だけど、盗まれた薬屋さんは大損害だ。やはり盗みはダメだ」というものです。
問題に対して、自身の考えを踏まえて意見を添えて判断をしていると言えます。
では、大人という精神状態の人はどういう回答となるのでしょうか。
回答は一つとなります。
「盗みは悪だが、命も大切だ。双方の事情を考えて、薬屋さんに労働という対価で支払えないだろうか」という様なものです。
相手の事を考えて、どちらも良くなる様に案を出す。
正義か悪かだけに捉われていない自由な心、自在心の状態にある回答と言えないでしょうか。
2.自在心上達のコツ
とても素晴らしい自在心というものですが、どうしたら上達していくのでしょうか。
実は自在心上達のコツは常にあります。道場では当然として、稽古場以外でも勿論可能です。
上達のコツは、相手に合わせる事、つまり相手を理解し受け入れる事を常に考える事です。
道場で練習をする際には、型通り同じ事をするのではなく、毎回違う状態で技をかけられていると考えて下さい。
型の最中に違う攻撃を受けても、即座に対応出来るように心構えるとでもいいましょうか。
型通りの事をしながら、型通りではない自由な心を持つという難しさは想像通り、凄く難しいですが、だからこそ最初から心がけ続けていって下さい。
練習中以外では、生活をする上でもこの考えを取り入れる事を心掛けて下さい。
心掛けるのは、何でも相手の思うままになる事ではありません。理解をしようとする事です。
私が…ではなく、相手は何を考えるかを思い行動するようにしていくと良いと思います。
自在心の上達のコツを一言で言うなら、他人を思い理解する心を持つ事。
それが一番の上達の近道です。
以上、合気道経験者の考える自在心と上達のコツでした。
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