曳き馬は、その字の通り馬を曳いて歩く事です。
観光地や乗馬クラブで、厩務員さんが曳いてくれる馬に乗る体験乗馬も曳き馬と言います。
競馬場のパドックを厩務員さんと歩いている状態も曳き馬です。
もちろん乗馬クラブでも、乗馬用馬の運動や調教のために曳き馬を行います。
理由はどんなであれ、馬が人間に誘導され一緒に歩いている状態を曳き馬と言います。
1.曳き馬のルール
曳き馬って馬を曳いて歩けばいいんでしょ? と思われるかもしれませんが、いくつか守らなくてはいけないルールがあります。
馬を曳いて歩くのですが、引っ張って歩くわけではありません。
まず、人間が立つのは必ず馬の左側です。
馬の前に行き過ぎてもいけませんし、後ろに行ってもいけません。
馬の肩の斜め前ぐらいに立つのが良いでしょう。
その時に、馬の動きを邪魔したり、馬の前肢が人間に当たったりしないぐらいの距離を馬体から取りましょう。
人間が馬を誘導するのですが、前に立って誘導するわけではありません。
そして、人間が馬に引っ張られてもいけません。
2.どうして曳き馬をするのでしょうか
曳き馬を行う理由はいろいろあります。
乗馬する前に、馬の歩様に異常が無いかの点検。
若い馬の調教でも曳き馬を行います。
観光地や乗馬クラブで初心者を乗せての曳き馬。
負傷や病気で療養中の為、放牧も出来ない状態の馬のリハビリ運動としての曳き馬。
乗馬クラブで騎乗前に馬房から出して洗い場まで連れて行くのも曳き馬です。
曳き馬をする上で大切なのは、曳き手がちゃんとその曳き馬の目的を理解して行う事が大切です。
馬の調教とは、乗ることだけではなく、馬が人間と接している時間も含まれます。
たかが曳き馬と思って行ってはいけません。
人間が安全に馬を誘導するには、馬が人間の誘導に従うという事が大前提になります。
そこで、人間の方がたかが曳き馬という気持ちで適当に行えば、そのいいかげんな気持ちは馬にも伝わります。
「馬は人を見る」といわれるように、人間の感情を読み取る事にかけては大天才です。
例え、馬房から洗い場に馬を連れ出すだけであっても、馬が厩舎内のほかの馬にちょっかいを出したり、乗馬クラブ内の道端の草を食んだりしないようにきちんと誘導しましょう。
3.曳き馬中に気をつけること
曳き馬をする時に気をつけるべき事をいくつか挙げていと思います。
曳き馬はたいてい、無口に引き手をつけて行います。
調教目的の場合は、手綱を外した頭絡をつけたり、頭絡に手綱の代わりになる調教補助の馬具をつけたりしますが、初心者の方が乗馬クラブで曳き馬を行う場合は、「無口に引き手」で行うでしょう。
その時も、必ずブーツとヘルメットは着用しておきましょう。
何度もいうようですが、他の意思を持った動物を相手にしているのですから、予想外の出来事や、不可抗力の事故が起こりうる可能性もあります。
たかが曳き馬と思わず、きちんと安全に配慮して行ってください。
馬が、好奇心旺盛で物見しやすい場合は、馬が興味の引くようなもの(飼葉や干草置き場等)のある通路は避けましょう。
一般的に、乗馬クラブに居るオス馬の殆どは、「セン馬」といって去勢されていると思いますが、若い馬の場合は去勢されていない事もあります。
もし、オス馬を曳き馬する場合は、雌馬が周辺にも曳き馬する馬場にも居ない事を必ず確認しましょう。
興奮して暴れる可能性があり、非常に危険です。
もし、馬が暴れてしまい、どうしようも無い場合は決してよい事ではないのですが、馬を放馬して下さい。
その際は、被害を最小限にする為にも、乗馬クラブ内に居る周囲の人々にも「放馬」と伝えてください。
馬が暴れた場合、人間の力ではどうにも出来ません。
筆者の古い友人は、馬を押さえ込もうとして曳き馬中暴れたに愛馬に蹴られ即死しました。
人間にもなつき、可愛い動物ですが、時には危険な動物だということを頭において置いてください。
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