筋トレは言わばバーベルやダンベルなどの重りを「上げ下げする」行為です。
実はその「上げ下げ」する行為自体にも異なるやり方があります。それがストリクト法とチーティング法の2種類になります。
今回はその2種類の筋トレ方法の説明とそれぞれの使い分け方を考えていきます。
1.ストリクト法
「ストリクト(strict)」とは「厳格な」とか「精密な」といった意味の単語です。
つまり、ストリクト法とは基本フォームを「厳格に」守ったやり方で行う筋トレ方法のことです。
ストリクト法はバーベルなどの重りを上げ下げする際の「基本的・教科書的」動作になります。
そのため、特に筋トレ初心者はすべての種目においてストリクト法を採用すべきだということができます。
2.チーティング法
「チーティング(cheating)」とは「不正行為」「ズル」といった意味の単語です。
つまり、チーティング法とは基本フォームを守らず「ズル」をして、ストリクト法では挙がらないような重量を持ち上げる方法になります。
チーティング法はストリクト法とは違い「教科書的フォーム」とはかけ離れているので、初心者が用いるようなものではなく、筋トレ上級者によく用いられる手法になります。
3.ストリクト法とチーティング法のフォームの違い
ストリクト法とチーティング法の具体的な違いとして、「バーベルカール」を例に挙げてみます。
バーベルカールは上腕二頭筋を鍛える種目で、バーを持って肘を曲げ伸ばしする運動です。
ストリクト法を用いたバーベルカールは肘・肩・上半身を一切動かさず、シンプルに腕だけを曲げ伸ばしするようにします。
一方、チーティングを用いたバーベルカールはバーの上げ下げに伴って、肘の位置を前後させ、それと同時に上半身を前後に振ります。
こうすることにより勢いがつき、ストリクト法では挙がらないような重量を挙げることが可能になります。
4.ストリクト法とチーティング法の使い分け方
ストリクト法とチーティング法はどちらが良いとか悪いといった問題ではありません。
筋トレの目的や筋トレ習熟度によって使い分けるのが正解になります。
それでは具体的な使い分け方を紹介していきます。
1.ストリクト法を用いるべき場合
ストリクト法は筋トレ方法の「基本」となるので筋トレ初心者~上級者まで、すべての人に効果的な方法になります。
筋トレ初心者の場合は、筋トレで筋肉に刺激を与えるのは勿論、「筋肉に効く」という感覚を覚えることが何よりも重要になります。
そのためには、鍛えようと思っている筋肉を「単独で」働かせる必要があり、他の筋肉の参加をできるだけ抑えることのできるストリクト法が効果的となります。
また、筋トレ上級者の場合でもストリクト法を採用するメリットは十分にあります。
筋トレ上級者はあらゆる種目において使用重量が重くなっています。
扱う重量が重ければ重いほど、無理な体勢でバーなどを挙げてしまった時の、ケガのリスクが上昇してしまいます。
また、筋肉は上がっていく重量に適応することができますが、関節や腱の適応能力には限界があります。
ですので、筋トレ上級者の場合、使用重量が上がりすぎて「これ以上重くなるとケガの可能性が出てくる」といった場合、一度ストリクト法に戻して、使用重量を敢えて落とすという選択肢もあるのです。
使用重量自体は下がってしまいますが、対象となる筋肉への負荷自体が下がるわけではないので、筋肉が小さくなってしまうことはありません。
2.チーティング法を用いるべき場合
チーティングは言わば「応用的フォーム」になります。
ですので、筋トレ初心者の場合は、どんな理由があっても基本的にはチーティング法を用いるべきではありません。
チーティング法を用いるべきは筋トレ中級者以降になります。
チーティング法はストリクト法では扱えないような重量を挙げることができるので、ストリクト法では与えられないような刺激を筋肉に与えることができます。
チーティング法は特に「筋力」を向上させたいときに有効な手法になります。
ですので、扱う重量が思うように伸びなくなってきたときに、「筋力向上期間」として「期間限定」でチーティング法を用いられることが多いようです。
また、筋トレ中級者以降になると、使用重量が重くなってくるため「教科書的フォーム」ではどうしても「やりづらさ」を感じてしまうことがあります。
そんなときにもチーティング法は用いることができ、筋トレ中級者以降の場合、一般的に言われているチーティング法が教科書的フォームになることもあります(ベントオーバーローイングがその代表例)。
ですが、ここで注意しなければならないのがチーティング法は飽くまで「応用テクニック」であり、常用すべきではないということです。
やはり筋トレの基本はストリクト法であり、チーティング法は筋力向上などを目的とした「期間限定的」な使い方が正しい使い方となります。
以上がストリクト法とチーティング法の使い分けになります。
筋トレ初心者の場合はストリクト法を選択し、中級者以降の場合はそのときの状況に応じて、適度にチーティング法を織り交ぜることが効果的となるでしょう。
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