アーチェリーの練習で打ち込みをしたり、打っている人の矢を見たりしていると、ただ真っ直ぐ飛んでいるようには見えないと思います。
この矢の飛び方の紹介をしていきます。
1.パラドックスとは
矢が飛んでいるのを見ていると、何となく回転して飛んでいるのがおわかりでしょうか?
弓から放たれた矢は回転をしていると同時に、放物線を描きながらグニャグニャ曲がって飛んでいるのです。
この矢を飛ばす状態をゆっくり見てみると、まるで鉛筆の端を持って上下に揺らしているような様子が見られます。
この矢が飛ぶときの蛇行現象を「アーチェリーパラドックス」と呼んでいます。
哲学上ではパラドックスとは、「直感的には正しく思えるが実は間違っているもの」および「直感的には間違っているように思えるが実は正しいもの」のことを言うそうです。
つまり、矢はグニャグニャ曲がってはいるのですが、実際は真っ直ぐ飛んでいるというのです。
2.パラドックスはなぜ起きるのか
アーチェリーパラドックスはトップアーチャーにも起こりうる現象です。
弓から離れた瞬間、矢は弦の圧力によって飛んでいきます。
この圧力を受けている最中に、矢は空気抵抗による反対方向の力を受けます。
この二つの圧力により、矢は外側にたわみますが、更に元の位置に復元しようとしますが、この状態の反復を繰り返すため、矢がくねくね蛇行しながら飛んでゆくのです。
この矢のたわみと弓の強さのバランスが合わないと、矢は真っ直ぐ飛ばず、グルーピングにずれが生じてゆきます。
また、このアーチェリーパラドックスは引き手の指の取り掛けによっても影響を及ぼします。
浅掛けと深掛けについてご紹介したと思いますが、ストリングが指に引っかかることで、このパラドックスはすぐに崩れてしまいます。
また、背中でリリースをするとも紹介してきましたが、取り掛けに力が入ってしまう場合、弦はねじれながら戻っていきます。
これもパラドックスの原因であり、弦が腕に当たってしまう理由にもなります。
また、矢を離した際にフェザーが取れてしまう方は、このパラドックスによる矢の暴れでレストに当たって取れてしまいます。
ノックの位置が重要なのはパラドックスによる影響をなるべく受けないためにも必要なことです。
矢を放った後の弦は、進行方向や直角方向にも暴れているので、あくまでこのパラドックスを斎狂言に抑えるために、射形は一番重要な部分と考えていただきたいですね。
コメント