クラシックバレエをやっていると、姿勢が良いね、と言われることがあります。
一般的な「良い姿勢」にも、クラシックバレエでは、「正しい姿勢」というものがありますので、ご説明していきます。
1.クラシックバレエの基本的な正しい姿勢
一般的に、姿勢良くしなさい、というと、背中が少し反り、胸を突き出した体勢になる人が多いですが、クラシックバレエでは、これは間違いとされています。
なぜなら、背中側が反ってしまうということは、その分背中が縮んでいる状態になるからです。
クラシックバレエは、基本的に、縮める、止まる、固めるという動きはありません。
しなかやに伸ばす、止まらない、呼吸する、ということがとても大切になります。
正しい姿勢のポイントを2つご紹介します。
1つ目は、頭、首、背中が一本の糸で上から吊るされ、一直線になるようなイメージで、あご、お腹、お尻を出さずにまっすぐ立つことです。
そして、上に引き上げるように立つことが重要です。
この時、力が入りやすい肩については、リラックスして、下げておきます。
意識を上にばかり持っていくと、グラグラしてしまうので、矢印で上下に引っ張り合うように、お腹から上は上部に引き上げ、脚は下に突き刺すようにするのがコツです。
人間の骨格上、背骨はS字に曲がっていますし、重力で体重の分、下に引っ張られてしまいます。
クラシックバレエでは、このような自然の働きに逆らって、自分の意識で背骨も1本のように、また、下に下がる重力にも負けずに上に体を引き上げる必要があります。
もちろん、100%まっすぐにすることはプロのダンサーでも不可能ですが、意識することで
引き上げの感覚を身に付けることが重要です。
しっかりと身体の引き上げが出来てくると、ポジションの移動や、ジャンプ、回転がスムーズに行えます。
2つ目のポイントは、目線は遠く、前を見ることです。
振り付けや動きに不安があると、つい足元やほかの人の動きを見て、目線が下がってしまいがちです。
視線を下げると、頭はとても重たいので、まっすぐのバランスが保てず、姿勢が悪くなってしまいます。
これを防ぐためにも、まっすぐ立つと、足の裏全体で、床を感じることができます。床を感じていれば、視線も下に落とす必要がなくなります。
スタジオや舞台上には、急に穴が開いていたり、段差が出現したりすることはほとんどありませんね。
自分の足元の感覚で床が続いていると分かると思いますので、目線を遠くしてみてください。
色々と考えてしまうと、まっすぐに立つだけでも難しいですが、バレエダンサーはどんな動きをする場合も、この「正しい姿勢」を基本にして踊っています。
2.正しい姿勢の応用編
次に、踊りにはどんな動きがあるのか、考えてみたいと思います。
大きなジャンプ、片足での回転、リズミカルなステップなど、どれも体の形がまっすぐな教科書通りの「正しい姿勢」ではないように思えるのではないでしょうか。
しかし、実はどんな場合でも、身体の軸は上下で均等に引っ張り合ってバランスを取っています。
空中で足が前後180度開脚した形になるジャンプに、グランパデシャというものがあります。これは横に移動する動きではなく、床を使って、上に足を蹴り上げて飛びます。
踏み切る前に身体のバランスがしっかりとれていて、はじめてまっすぐ上に高く飛ぶことができると言えます。
クルクルとその場で回転するピルエットも、1回転だけであれば、正しい姿勢で、かかとを上げてパッセ(片方の足を曲げて爪先を軸足のひざにつける形)に立つだけで、勢いをつけなくても、回れます。
このように、基本の動きを習得した上で、はじめて応用の動きが可能になっていきます。クラシックバレエを踊るなら、まずは、正しい姿勢を意識して練習してみましょう。
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