古典的なクラッシックバレエには、一番美しい表現になるよう、研究された基本の形が決まっています。
腕にも正しく踊るためのポジション、通り道がありますので、ぜひ覚えてみてください。
1.クラシックバレエの腕のポジション
クラシックバレエには、足のポジションのほかに、腕にもポジションがあります。
足のポジションが1番から5番(+6番)なのに対し、腕の通り道にはそれぞれ名称が付いています。
1.アンバー
アン・バは「下方に」という意味です。アン・バのポジションは次のように作ります。
腕を体に沿って自然に下ろし、上半身の前に置きます。
手首と肘を丸くし、腕で長い楕円を描くようにします。
身体と手の間はこぶし1つ分ほど空けるようにします。肩には常に力を入れず、猫背や後ろに反った姿勢にならないように注意し、まっすぐ下に下ろします。
2.アンナバン
アン・ナヴァンは「前方に」という意味です。アン・バの位置からみぞおちの高さまで腕を上げます。肘を下げないように張り、指先、手首が垂れ下がらないように注意します。
指先を少し上半身、胸のあたりに近づけます。アン・バのように長い楕円ではなく円を作るようにします。大きな荷物を抱えるようなイメージが良いかと思います。
アン・バと違い、アン・ナヴァンで、長い楕円ではなく円にするのは、回転する際に関係してきます。
回転する際のアン・ナヴァンの腕は、回転の軸に沿うように、上半身になるべく近づける必要があります。腕が上半身から離れると遠心力で回転の軸がぶれてしまうためです。
3.アンオー
アン・オーは 「上に」 という意味です。アン・ナヴァンの位置から腕を頭の上まで上げます。上に上がっても腕の使い方はアン・バとまったく同じです。
指先の位置は真上ではなく、頭よりも少し前に置き、視界に入る位置にあれば正解です。
アン・ナヴァンから腕を上げるときは、円を楕円に戻す必要があります。肘を少し伸ばしながら縦に長くなるように楕円を作りましょう。
4.アラセゴン
アラセゴンは「真横に」という意味です。アン・ナヴァンの位置から腕を両腕を肩の線より前で大きくひろげ、丸みをつくります。
肘、手首が落ちないように、また、サル腕にならないように、肩から一直線でしずくを垂らしたらスーッと滴るようにカーブを描きます。二の腕が辛いポジションです。
5.アロンジェ
アロンジェは「遠くに長く伸ばす」という意味です。
腕のポジションではアン・オーのとき、アン・バにもってくるときなどに行います。
バレエのセンターレッスンで動きを始める前に、呼吸と一緒に腕をアン・バから少し開きアロンジェすることで、これから踊ることが分かります。
丸みを帯びている状態から伸ばした状況を意味しているので、踊りの中でもたくさんアロンジェは登場します。
2.バレエの腕の役割
上記で腕のポジションを説明しましたとおり、クラシックバレエには、手、腕の使い方にも正確な決まりがあります。
どうしてこのような決まりがあるのかというと、理由は2つ考えられます。
一つは、冒頭にも申しました通り、芸術的な美しさです。
身体のゆがみが無く、正しい位置に置くことでダンサーの美しい体のラインや動きを作ることが可能になります。
もう一つは、アン・ナヴァンの説明でも少し記載しましたが、腕のポジションや動きが、踊りそのものに影響してくることが挙げられます。
腕が正しいポジションに取れていれば、内側の筋肉を背中から連動して使うことになります。早いステップの際や高いジャンプと飛ぶときに、腕の動きが身体をサポートする役割を果たします。
腕の使いかたを意識すれば、美しく踊る上達の近道になるでしょう。
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