今回は合気道の三人掛けについて紹介します。
多人数を相手にし、しかも両手と身体を抑えられているという最悪の状態を想定した技です。
私が道場でこの技を教わる際に、多人数相手にはまず逃気の一手だと言われた事を記憶しています。
対多数というのはそれだけ非常に危険な状態だという事です。
究極のピンチとも取れるこの局面がどの様にして打破されるのか説明していきます。
1. 三人掛け
合気道三人掛けは二人の相手がそれぞれ左右の手を両手で握り、もう一人が身体を後ろから抱えるようにして抑えた状態から始まります。
映画やドラマでも中々ないでしょう。
もはや何をどうしても抵抗が出来ない状態の象徴でしょう。
正直に申しますと通常であれば、その時点で身動きは取れないものと考えて下さい。
しかし、合気道三人掛けはこの状況を打破します。
どのような理屈で成り立つのかのポイントを紹介していきます。
当然ながら腕の力でなんとかなる事は絶対にありません。
単純に考えて一人の力で二人に敵うなんて事はありえないでしょう。
まして三人相手となるとどんな力自慢でも大変に困難かと思われます。
三人掛けで重要なのは相手にとらわれず自分の動きをする事と位置取りです。
合気道三人掛けは身体を入れ替える転身の動きと相手を自分の正面に捉え続ける位置取りが重要となってきます。
三人掛けでは両の腕の状態を片腕ずつ考えると諸手取りの状態です。
諸手取りについては立技諸手取り呼吸法の記事を参照して下さい。
そしてもう一人は後ろから抱きかかえる様にしてこちらを抑えます。
後ろ抱きかかえに関しては後ろ抱きかかえ三教の記事を参照にして下さい。
この状態の打破として、最初の動きは「拝む」動作です。
肘を曲げて両手の親指を自分の額につけるために腰を少し曲げましょう。
額に親指がついたらそのまま姿勢を正します。
この動作で両手を持っている相手は手の接続が切れます。
後ろから抱きかかえている一人は脇が空いた状態となります。
この体勢に持ち込んだら、相手は三人とも抑える為の力は入りませんので、自由に身体を動かせます。
拝んでから姿勢を正したら、一歩前に進み後ろ抱きかかえの体勢に隙間を作ります。
その隙間を使って頭を抜き転身を行います。
すると相手は三人それぞれが引っかかりますので、三人とも倒れるように前後に動きましょう。
三人が倒れてからが三人掛けの本番ですが、何の技をかけるかが決まっている訳ではありません。
向かってくる相手を少し押してもいいですし、技をかける相手をもう一人にぶつけるようにしても大丈夫です。
大事なのは同時に相手をしない事です。
同時に攻撃をされない位置取りを意識して立ち回ってください。
以上で合気道三人掛けの流れは完了です。
2. 三人掛け上達のコツ
合気道後三人掛け上達のコツは何でしょうか。
コツは自在心です。
型通りにこなす事は大事ですが、型には投げる方向や投げなきゃいけないタイミングがあるわけではありません。
実は自由に投げていいのです。
なるべく三人を正面に捉え続け、一直線に並ぶように位置取りをしてみて下さい。
以上、合気道経験者の考える三人掛け上達のコツでした。
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