クラシックバレエについて、みなさんどのような印象をお持ちでしょうか。多くの方が、難しい、敷居が高い、つま先で立っている、優雅そう、といった言葉をイメージするのではないでしょうか。
ここでは、クラシックバレエについて、皆様に少しでも親しみを持っていただけるよう、魅力をお伝えしていきます。
1.クラシックバレエとは
クラシックバレエ(Classical ballet)は、イタリアで生まれ、フランスで育ち、ロシアで発展した、歌詞・台詞を伴わない舞台舞踊の芸術です。
クラシックという名の通り、古典的であり、踊りの型がしっかりと決まっています。特別な振り付けの指示がない限り、手の通り道、首の付け方、足の使い方など、全てにきちんとしたポジションがあります。
空間に関しても、前後左右ななめで8方向に番号が付いていますので、例えば、2番の方向に向いて進んで、と言われれば、全員が同じ角度に向かって動くことが可能になり、群舞の美しい動きを生み出しています。
また、音楽ごとに物語性をもち、複数の幕をもつ舞踊劇が主流です。20世紀以降には物語性を否定する作品も生まれておりますが、短い小品でありながら優れた物語性を持つものもあります。
同じ音楽でも、オペラなどと違い、舞台には歌詞、字幕はありません。そのため、事前に演目ごとのストーリーを知っておかないと、クラシックバレエを初めて観る人には何をやっているのか、理解できないで終わってしまうかもしれません。
素晴らしい物語がある作品が多くありますので、クラシックバレエの幕物の舞台を観る際、まずストーリーを把握することをお勧めします。
それでも、あらすじを読んだだけでは、よく分からない、難しそう、と感じる方もいるかと思います。
繰り返しになりますが、クラシックバレエは、音楽と作品の物語を言葉ではなくダンスによってセリフや気持ちを伝えます。
そこで、ダンサー達は踊りだけで、どのように台詞や気持ちを伝えているのか、考えてみたいと思います。
2.クラシックバレエの魅力
クラシックバレエには、登場人物達が踊りだけではなく、身振り・手振りで会話をするシーンが登場します。
この身振り・手振りのシーンを、バレエでは「マイム」と呼びます。マイムという動きを理解していると、あらすじが分からなくても、そのシーンのおおよその意味が想像できるようになりますので、代表的なものを紹介していきます。
「私」:手のひらを上にして胸にあてる。
「貴方」:手のひらを上に、その人のほうに差し出す。
「踊る」:両手を上にあげ、くるくると交差させる。
「王・王妃」:片手を頭の上に、手首を曲げておき、そのまま横に引いて王冠をイメージさせる。(または両手を頭のうえに、王冠をイメージさせるように手首を曲げて手を立てる。)
「愛する」:手のひらを上に、両手を胸の前に合わせる。
「結婚」:右手で左手薬指を指差す。
「誓う」:片手は胸に、片手は人差し指と中指を立てて天に向け、天に誓うイメージ。
「殺す・死ぬ・呪う」:こぶしをつくった両手をお腹の下辺りでクロスする。
「嫌です」:顔を背けて手のひらを相手のほうに押しやるようにする。
「違います」:頭をふり、手のひらをしたに、両手をお腹の下あたりで交差させる。
「美しい」:手の甲を顔の横におき、反対側のほほまでくるりと手の甲でなでる。
例えば、「私は、あなたが好きです、結婚して下さい」というシーンがあります。これは、「私」「貴方」「愛する」「結婚」というマイムの動きを組み合わせて表現します。
このように、マイムを理解していると、動きからその場面の意味を想像することができます。自分の覚えた動きが実際、ダンサーによって舞台で表現されるとどのようになるのか、ぜひ探してみると面白いと思います。
堅苦しいと思われがちなバレエですが、実は言葉がない分、世界共通で老若男女問わずどなたが見ても楽しめるようになっているので、気軽な気持ちで興味を持っていただけると嬉しいです。
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