クラシックバレエといえばトゥシューズで踊る事だとイメージすると思います。
トゥシューズは誰でも履けるものではなく、厳しい訓練を毎日必要とする特別なシューズです。
1.バレエのポアントとは
トウシューズ(英:toe shoes正式にはpointe shoes 仏:chaussons de pointe 、pointes)は、バレエを踊る時に履く靴のことです。
ポワント(Point)とはつま先を伸ばした状態や、トウシューズでつま先立ちした状態を指します。また、トウシューズ自体をポアントということもあります。
この靴の特徴には爪先の先端の平たく造った部分があり、これをプラットフォームといいます。床との唯一の着地面になり、これにより足の先で立つことができます。
ポワントは、足の甲を出して履くことができれば、きれいに見えます。
履く際には、そのままだとプラットフォームが固いため、指先部分に布などを詰めたり、専用のパッド(トウパッド)を使用したりします。
一般の靴と同様にフィッティングを行い、足の形やアーチ、骨格にあったものを選択していきます。
ただし、誰もがポアントを履きつま先で立つことができる訳ではありません。
鍛練を繰り返し、バレエシューズでの正しい足の形が出来て、基本的なバレエを踊れるようになり、身体に必要な筋力がつき、重心を引き上げることができるようになって、初めて履くことができるものです。
もしも若年者であれば、解剖学上において足骨の成長軟骨の骨化が完成する年齢までは、バレエでポアントを履くことはとても危険です。
教師の許可なくポアントで立つと、骨折や捻挫などの怪我やトラブルの原因となりますし、変な位置の筋肉を肥大させ、間違った立ち方の癖がつく可能性が高いためです。
ポアントにはいろいろな種類があり、それによって、硬さ・固められている範囲・ポワントで立つ時床に接する面の広さなどが異なります。
職人により、ほぼ手仕事で作られている為、同じ種類で同じサイズのものでも立ったときの感覚が微妙に違うことがあるので、自分に合ったポアント探しは苦労します。
また、爪先の固めてある部分は主に布を接着剤で固めているので、長期間の使用でつぶれてしまいます。そのために、長持ちするよう爪先にニスや瞬間接着剤を流すことがあります。
ポアントのつま先は、何層にも紙を重ね、それを特殊な糊で固めて作られているため、買ったばかりの新品の状態はとても固く、床などに打ち付けるとコツコツと音がします。
このままでは、踊るどころかまともに立つことさえできません。
そこで、靴底部分を足になじみやすくするため、手や床、時には金槌やドライヤーなどを使って、徐々にほぐして柔らかくします。
この時に、靴底全体を柔らかくしてしまうと立てなくなりますので、加減が必要です。
土踏まずの部分を避けるようにして、バレエシューズならルルベの時に足の指が曲がる位置などを中心に、自分が立ちやすくなるように工夫してほぐしていきます。
外国製のトゥシューズは足にトゥシューズを固定するためのリボンが付いていないことが多いので、自分で縫い付ける作業が必要となります。
ポワントで美しく立つためには、靴の加工も大切です。
2.バレエをポアントで踊る心構え
ポワントで踊るには足、足首の強さがとても重要です。そして、腹筋や背筋などの内筋が使えなければなりせん。
必要な筋力がつくまで、個人差がありますが、成人であれば4~5年はきちんと練習し、少なくとも週に3回はレッスンを受けていることが望ましいです。
ポワントも通常のレッスンと同じ姿勢テクニックで行います。バレエのテクニックを正しく理解しないままポワントを始めてしまうと大変なことがおこります。
そのため、指導者は骨が適正といえる状態まで成長しているか、充分な筋力があるか、バレエテクニックを正しく理解しているか、真面目にレッスンを受けているか、チェックする必要があります。
ポワントの履ける条件が整ったら、いよいよレッスンが始まります。
最初のバーで正しい立ち方をしっかりと練習しておけば、バーを離れた時に正しいポワントのテクニックで踊ることができるようになります。
ア・テール(足の裏全体を床に付けた状態)からポワントに立つ時は、基本的にはいつも必ずドゥミ・ポワント(バレエシューズでいうルルベの状態)を通ってからポワントに立ちます。
そしてア・テールに戻る時も、必ずドゥミ・ポワントを通ってから踵を床に付くようにしましょう。
ア・テールから、つま先に跳び乗るようにジャンプをしてポワントになり、ア・テールに跳び降りてくるような立ち方をすると、足への衝撃も大きくなり危険です。
足への衝撃と足音の両方を和らげるためにも、まずはドゥミ・ポワントを通って立って降りる練習を繰り返しましょう。
また、バーにしがみついてぶら下がるようにしてポワントに立たないようにします。ポワントに立つということは、バレエシューズでルルベに立つ時より、更に上体の引き上げを必要とします。
バレエシューズのルルベで床に接している面積より、ポワントで立つ方が遥かに床との接触面が狭く、高さも出でバランスを、取ることが難しくなるからです。
毎回レッスンでは、脚で立つのではなく、上体を引き上げて立つ意識を持ち続けていきましょう。脚の力だけで立つと、表面の筋肉を使ってしまうため、足が太くなる原因になります。
短期間で劇的に上達するのはなかなか難しいですが、ポワントも毎回正しい立ち方を意識することで、必ずよい結果が出てきます。
楽しく安全に踊れるように、日々の稽古に励むことが、ポアントで踊るうえでは必要不可欠であることを認識して頑張りましょう。
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