長い歴史と広い地域に渡って伝えられ、進化してきた「ベリーダンス」。
その地域ごとに根ざしたフォークロア(民族舞踊)を紐解いていくことで、この踊りの奥深さをより知ることができると思います。
1.ベリーダンスの基礎となるフォークロア
ベリーダンスの代表的なスタイルといえば
・エジプシャンスタイル
・ターキッシュスタイル
・ジプシースタイル
・ATS(アメリカン・トライバル・スタイル)
・トライバル・フュージョン
以上が有名ですが、今回はベリーダンスをよりベリーダンスらしく踊るためのエッセンスともいえる、中東地域のフォークロア(民族舞踊)にスポットを当ててみたいと思います。
1.サイーディ(SAIIDI)
サイーディはエジプトのナイル川上流の農村地域が発祥の民族舞踊で、アサヤと呼ばれるステッキを使い、ノリのよいサイーディのリズムに合わせて踊ります。
衣装は両脚脇に深いスリットの入ったサイディドレスというワンピース調の民族衣装を着用し、頭にスカーフと腰にベルトを巻きます。
2.ハガーラ(HAGGALA)
ハガーラは砂漠の民と呼ばれるベドウィンの踊りで、砂漠の熱い砂の上を歩く時に飛んだり跳ねたりする様相を表すhag’lを語源とし、ダイナミックに踊ります。
衣装はワンピース型のフォークロアドレスで、スカート部分にはフリルが使用され、腰の動きを強調した作りとなっています。
3.ヌービアン(NUBIAN)
ヌービアはアスワンハイダムの建設で解明した、エジプト南部からスーダンにかけての地方にかつてあった王国でしたが、先人たちから受け継いだ独特のリズムに合わせ、軽やかなステップを踏み、肩を上下に動かしたりします。
女性のダンサーは被ったベールの両端を持ち、スイングさせながら踊ります。
衣装は長めのベールで髪を覆い、お揃いのカラフルなドレスに重みのある石をあしらった長めのネックレスを身につけることが多いようです。
4.ダブケ(DABKE)
ダブケ(DABKE)
ダプケはアラブの伝統舞踊として中近東諸国の広い地域で踊られているラインダンスです。
手をつないで踊るため、足のステップが中心となり「足元で打つ」という語源の通り、6ビートの音楽に合わせて複雑なステップで大地を踏み鳴らしていきます。
もともとが男性の踊りということもあって、衣装はパンツスタイルで、ラウィフと呼ばれる先頭の人はスカーフを持ちステップを誘導していきます。
5.ミラーヤ(MELAYA)
ミラーヤは古くから貿易で栄えたエジプトの都市、アレキサンドリアの港町の女性と船乗りの男性の恋の駆け引きを表現した踊りで、アレキサンドリアンスタイルとも呼ばれ、レダ国立民族舞踊団の創設者のマフムード・レダ氏が創作しました。
衣装は頭にポンポンのついたスカーフ、胸元や裾に大きなフリルをあしらったミニワンピースを身に纏い、 ミラーヤレフ(Melaya Leff)と呼ばれる、漁網をモチーフにした黒い布を使用します。
6.ハリージ(KHALEEJI)
ハリージは「湾岸の」という意味を持ち、ペルシャ湾岸地域で踊られている民族舞踊です。
ハリージは円や半円を描くようにリズミカルに頭を動かし長い髪を振る動きが特徴的で、ショルダーシミーやハンドシミーなど手の動きを多様します。
衣装は筒状のハリージドレスという煌びやかなワンピースで、口元はドレスの裾で隠し、目元をだけを出して踊ります。
7.ガワジー(GHAWAZI)
ガワジーはジプシーによって受け継がれてきた、オリエンタルダンスの基盤になったダンスといわれており、腰~お尻をすばやく動かし、真鍮で出来たカスタネットを持って踊ります。
古典的なガワジーは農村部に受け継がれていて、コール墨と呼ばれる墨で眉やまつげ、アイラインを引き、手や足の指先をヘンナで染めたりします。
8.モアシャハット(MUWASHAHAT)
モアシャハットはアラブ人がスペインのアンダルシア地方を統治していた昔、それぞれの文化が融合して生まれたダンスです。
随所に見られるフラメンコの動きがスペインの文化を思わせ、宮廷舞踊として発展してきたこのダンススタイルはバレエの基礎ともいわれています。
衣装はかつての宮廷舞踊を思わせる高貴な優雅さを残しています。
9.タンヌーラ(TANNOURA)
タンヌーラは元々スーフィズム(イスラム神秘主義)修行者が行っていた修行から発展した踊りで、スーフィーダンスともいわれています。
大きなスカートを振り回す旋回舞踊で30分以上回転し続けます。
10.ザー(ZAR)
ザーはモロッコを始めとする中東で、古くから受け継がれいる、儀式的な要素を含んだダンスです。
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