扶助と聞くと脚と拳が真っ先に思いつくかもしれません。
拍車や鞭も目立つ扶助です。
しかし乗馬に必要な三大主扶助は、脚、拳、そして騎座です。
騎座は外から見て目立つ扶助ではないので忘れられがちですが、騎座こそが乗馬テクニックの要とも言えます。
1.騎座とは?
騎座とは坐骨を使って体重移動をさせることにより馬を誘導する扶助のことです。
外からは見にくい扶助なので、騎座の扶助に気付かなかったり、自分できちんと使おうと意識しにくいでしょう。
しかし、見る人が見れば、乗り手が騎座を使えているかどうかはすぐに分かります。
初級者が乗って動かせなかった重い馬を、上級者がいとも簡単に乗りこなしている場合がよくあります。
これは、多くの場合馬が重かったのではなくて、騎座が入っていなかったことが原因です。
脚よりも騎座に敏感に反応する馬も少なくなく、このような馬は、騎座が上手に使える乗り手にとっては非常に乗りやすい馬なのです。
2.騎座の使い方
騎座を使うには、まず正しい姿勢を保つことが大前提です。
乗馬の練習の時に、猫背になるな、椅子座りをするな、腰を張りすぎるな、など、姿勢について細かくチェックされると思いますが、それはこの騎座を使うためです。
背筋を伸ばして椅子に座ると、自分の坐骨が当たっているのが分かります。
もしくは、椅子に浅く座りそのまま椅子を前に傾けると坐骨の動きが分かると思います。
この部分を鞍にしっかり密着させるようにしましょう。
そして、騎座の使い方の基本的な考え方は、騎座は押し出すように使うというものです。
つまり、椅子に座ったまま椅子を前側に倒す動きは、騎座で馬に推進の扶助を与える動きによく似ています。
このように押し出すと、馬は押された方向に進みます。
常歩、速歩、駈歩の全てにおいて、前進させ続けるためにこの騎座での推進の扶助は大切です。
騎座が使えるようになると、脚がもっと自由になるので脚が疲れないだけでなく、もっと細かな指示が出せるようになります。
左に曲がる時には左側の騎座で右に押し出すようにすれば、馬の腹は右に出るので、首は左方向湾曲し、滑らかに左に曲がることができるのです。
駈歩のときに外方脚を後ろに下げるのも、このためです。
外方脚を後ろに下げると、必然的に内方の騎座が外方に向かってプレッシャーをかけるので、馬は正しい手前で駈歩を続けることができます。
乗馬の初級者では騎座を使おうとするあまり、体をひねってしまったり、重心を崩してしまったりすることがあり注意が必要ですが、なるべく初期の段階で騎座の使い方を覚えるのが上達に欠かせないでしょう。
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