手前変換の方法はいくつかありますが、乗馬初級者にとって一番分かりやすい方法の一つが斜め手前変換です。
非常に簡単なのですが、少し誤解している人もいるようです。
上級になってからもこの図形運動は頻繁に出てくるので、しっかりと理解しておきましょう。
1.斜め手前変換とは
馬はどちらの足を基準の足として使うかという「手前」があります。
馬の歩き方と関係しているのですが、ここではとりあえず右回りを右手前、左回りを左手前、というように運動方向の区別として使います。
馬場をずっと左手前で軽速歩している場合、途中で馬の手前を変え右手前で走らせたいとします。
この時、初歩の乗馬でよく使われるのが斜め手前変換です。
これをすることにより簡単に手前を変えることができ、馬の負担を軽減し、乗り手の上達にもつながります。
2.斜め手前変換の方法
多くの場合、短蹄跡にさしかかったぐらいのときに「次、斜めに手前を変え」との号令がかかります。
そのため、乗馬を始めたばかりの人の中には焦って隅角から3メートル離れた短蹄跡でこの運動を始めようとする人がいます。
しかし、どんなに前もって号令がかかったとしても、その場所つまり長蹄跡に入ってから手前変換の運動に移行すればよいので、焦らずにゆったりと構えましょう。
斜めの直線に入ったらしっかり目的地を見ます。
目的地は点対称の位置、つまり反対側の長蹄跡の隅角より3メートルほど手前の所です。
その場所をしっかり見るときちんとした扶助を出すことができるので、蛇行することなくまっすぐな線を描くことができます。
馬にとって蹄跡はある意味気楽な安心感のある場所です。
いつも通っているところを柵につたって進めばいいので考えなくてもできるのです。
しかし、蹄跡を外れると進行方向の的確な指示が必要になります。
ときどき、本当に困った顔をしている馬がいますが、扶助が曖昧なためにどうしていいか分からないでいるのです。
斜め横歩でもこの図形運動がよく使われるので、扶助が不確かだと馬によっては斜め横歩と混同する場合もあります。
そうすると、馬体が進行方向に対してまっすぐにならずに、かといって正しい斜め横歩にもならない中途半端な角度に歪んでしまいます。
直進の指示を拳と脚、さらに騎座でしっかりと出して元気よく前進させるようにしましょう。
反対側の蹄跡に出たらそれまでとは逆の回り方で蹄跡に戻れば、斜め手前変換の完了です。
軽速歩でこの運動をする場合、インストラクターの指示がなければ軽速歩のまま斜めの直線に入って構いません。
向かい側の蹄跡に出た時に軽速歩の手前を変えましょう。
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