乗馬をするうえで、拳は非常に重要な扶助の一つです。
拳の握り方ひとつで馬に自由に意思を伝達することができるのです。
「乗馬は腕が疲れる」と思っている人は拳が上手く使えてないのかもしれないのでチェックしてみましょう。
1.拳の握り方
ハミから来る手綱を小指と薬指に挟んで持ち、親指を人差し指で余った手綱を折り返して持ちます。
この時拳は必ず立てるのが正しい握り方です。
左右の親指の爪がお互いに向き合うのではなく、それぞれ上を向くように握ります。
拳が横向きにねかす癖がついてしまうと、短鞭を使う時になって苦労してしまうでしょう。
短鞭は手綱と一緒に束ねて持つのですが、拳がねていると短鞭が馬の体に対して垂直に飛び出すことになります。
これは、副扶助として短鞭を使う時と同じ形になってしまい、馬からしたらずーっと短鞭を見せつけられて煽られている状態になります。
これでは短鞭は副扶助の道具ではなく、ただの馬をいじめる道具になってしまいます。
これを防ぐためにも、初期段階でしっかりと拳を立てる握り方を習慣づけましょう。
それができるようになったら、拳の前後の角度にも気をつけます。
正しく握れていれば、親指の爪は真上よりやや前方に向いているはずです。
それはハミから人の肘までが直線状にあるからです。
通常ハミは人の肘よりも低いため、直線で結べば拳は若干前方に傾くという訳です。
力が入るあまり、手首に上向きの角度をつけて、自分で親指の爪を見るような角度になる人がいますが、これは正しくありません。
馬に急に引っ張られた場合、怪我の原因にもなるので避けましょう。
2.拳の位置
優秀な騎手は、一見すると拳の扶助を何も行はず馬が自分から動いているように見えます。
しかし実際には、柔らかく繊細な拳で馬に綿密な指示を出しているのです。
そのためには、拳を正しく握ることと正しい位置に保つことが大切です。
ハミから肘までがまっすぐの線になるようにします。
そして、手綱の幅が馬の首に触れないギリギリのところになるように拳を置きます。
左右の拳の位置が近すぎると手綱が馬の首にあたり、人の指示も馬の反応も遮ってしまうので注意します。
また、直進する時は通常、左右の拳が線対称の位置にあるようにします。
どちらか一方の拳が開いていたり、逆に狭まっていたりすると馬には旋回の指示が出されているように感じるので、馬を混乱させてしまいます。
肩の力を抜いて自然な姿勢で手綱を持てば、おかしな角度で馬を引っ張ることもなくなり、疲れにくい乗馬ができるようになるでしょう。
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