日本にフラダンスが渡ってきてからの歩みを簡単にご紹介しました。
では日本におけるフラダンスの現状はどうなっているのでしょうか。
そしてそれは、ハワイの人々からはどう見えるのでしょうか。
1.フラとフラのような踊り
日本でフラダンスを学んでいる人には、色々なタイプの人がいると思います。
近所のママさんサークルで仲よくおしゃべりしながら、ゆったりと体を動かしている人。
近所の老人会の仲間と、お茶を飲みながら運動がてら踊っている人。
コンペに出場することを目指して基礎からしっかりと学んでいる人。
発表会やハワイアンイベントのステージで踊るために練習を積んでいる人。
私はどのタイプの人でも、フラを愛して心から楽しんでいれば、それはそれでいいのではないかと思っています。
ただ最低限、自覚しなければならないのは、フラはハワイの文化であり、それを日本人が踊る時には決して日本流に変えてはいけないということです。
料理でも何でも日本流にアレンジするのが日本人は得意ですが、フラに関しては絶対にそれをしてはいけないのです。
たまに動画サイトなどで見かける、およそフラとはかけ離れた踊り。
もちろん踊っている人たちに罪はなく、問題があるのはそれを教えている人なのですが。
でも、自分たちが踊っているのが『フラ』ではなく『フラのような踊り』だということを分かっているならば、それを責めることはしなくてもよいのではないかと思います。
でもそれを『フラ』だと主張したとき、ハワイの人々は果たしてどう思うでしょう。
ハリウッド映画に出てくるインチキな忍者を見たときの気持ち、カリフォルニアロールを寿司とは認めたくない気持ち・・・もっとかな・・・歌舞伎が海外で滅茶苦茶な解釈で演じられている、くらいのものすごい違和感を覚えるのではないでしょうか。
2.クムフラのジレンマ
以前、ハワイの有名なクムフラのワークショップに参加させていただいたのですが、レッスンが始まる前にたっぷり30分ほど、その胸の内を聞かされたことを覚えています。
彼はもともと、お金で振り付けを買う(彼の解釈では)ワークショップというものをあまりよく思っていないようで、振り付けはクムから習うもの、クムの下につかずに振り付けを買って人に教えることは間違っていると訴えていました。
自分たちはフラを正しく伝承する使命の元、クムフラとして生きている。
学ぶ方も高い意識を持って学ぶべきであるし、運動したいのならフラを習うよりジムに通うべきだ。
なかなか厳しいお話でしたが、彼のフラに対する真摯な想いを知ることができ、改めてフラを学ぶことの重さ、責任などを感じました。
多分その時は、来日の目的だったイベントの主催者がらみの、断れない依頼だったのだと思います。
その後のワークはきちんと務めてくださいましたが、笑顔がほとんどなかったのを覚えています。
クムにも色々な方がいらっしゃって、しょっちゅう日本に来てはワークショップを開き、多額の収入を得ている人もいます。
ハラウを経営していくのは多分とても大変なことでしょうから、資金集めだと割り切っているのかもしれません。
でも中には、あまりにも簡単にお金が入るので、まるで日本人を金のなる木のように思っているクムもいると聞きます。
でもそれならそれでいいではありませんか、とは言えないものの、それは仕方のないことなのだろうから、お金を払った分とことん勉強してやろう、という気持ちでワークショップに望むのもアリなのではないかと思ったりもします。
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