近年になり、罹患者が増加し続けている「うつ病」。
しかし、筋トレや有酸素運動などの同じ動作を反復する運動は精神衛生上、良い効果があることが多くの研究で明らかにされています。
そこで今回は、うつ病に対する筋トレの良い効果について考えていきます。
1.β-エンドルフィンによる「気分の高揚」
β-エンドルフィンとは脳内で働く神経伝達物質の一種で、気分の高揚や幸福感を増強する作用があります。
その作用はかなり強力なものであり、「脳内麻薬」と言われているほどです。
マラソンなどで長時間走りづけていると、いつの間にか苦痛が和らぎ気分がハイになることがあります。
一般的に「ランナーズハイ」と言われる現象ですが、実は筋トレにもランナーズハイと同じような効果があるのです。
しかも、筋トレの場合マラソンのように何十分と運動を継続する必要はなく、多くの場合5セット以内で効果を実感することが出来ます。
このβエンドルフィンによる気分の高揚や幸福感は半日以上、その効果が継続すると言われています。
ですので、午前中やお昼に筋トレを行うことで、1日を通して気分の低下を防ぎ、うつ病の予防効果が期待できるのです。
2.セロトニンによる「気分の落ち着き」
セロトニンとは脳や腸から分泌される神経伝達物質の一種で、気分の安定や幸福感に深く
関わる物質です。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神衛生を保つ上では非常に大切な神経伝達物質になります。
筋トレや有酸素運動のように同じ動作を何度も反復することで、セロトニンの分泌量を増やせることがわかっています。
また、セロトニンは睡眠を誘発させるホルモンである「メラトニン」を生成するうえでも必要となります。
十分な睡眠をとることはうつ病予防・改善には欠かせない要素となります。
3.負の気持ちの軽減
筋トレは日常生活とは比べ物にならないほどの集中力を要します。
というのも、筋肉をつけたい場合はバーベルなどの重りをただ単に上げ下げするだけでなく、筋肉の伸縮・フォーム・呼吸などを意識しながら行う必要があるからです。
うつ病患者は考えなくても良いことを必要以上に深刻に考えてしまう傾向があり、これは大抵、「心身ともに暇なとき」に起きやすい現象です。
しかし、筋肉をつけたい場合の筋トレは心身ともに最大限の集中力が必要となるので、少なくとも筋トレ中は余計な事を考えている暇はなくなります。
深刻なうつ病患者の場合、運動を行うこと自体が困難でしょうから、「うつ病の改善効果」としてはあまり期待できないかもしれません。
しかし、長期間にわたり気分が落ち込みやすい状態が続き、「うつ傾向」になっているときには、筋トレによる「うつ病予防効果」は十分に期待できます。
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