蹴り技の中で最も破壊力の高い技。それが後ろ蹴りです。全身の回転力を活かした一撃は防具の上でも相手の内臓にダメージを与え、倒しうる破壊力を秘めています。
見た目もかっこよく、決まれば相当な威力を出せる後ろ蹴りも練習を重ねれば必ず習得できます。さあ、貴方も身に付けてみませんか。
1. 後ろ蹴りの基本的な蹴り方とポイント
後ろ蹴りは全身の回転力を踵の一転に集約した極めて威力の高い技であり、回転技の基本となる技です。
今回は後ろ蹴りの練習方法とコンパクトに回転できるようなコツを解説します。
1. 後ろ蹴りは背中を向けるイメージで蹴る
後ろ蹴りは回転して蹴る特性上バランスを崩しやすく、慣れないうちは蹴り足を振り回す事で威力を出そうとしがちです。
そこで感覚を掴むためには「回すのではなく背中を向ける」イメージで蹴ります。前に歩きながら進行方向はそのまま背中を向けます。後ろ向きに歩くイメージですね。肩のラインまで一緒に流れないように後ろを向いた状態から蹴りましょう。
コツは蹴り足側の手を内側に絞り込むように引く事です。そうすれば体の回転にブレーキがかかり、肩のラインが流れる事なくダイレクトに力を伝える事ができます。
2.壁を背にしてコンパクトに回転
次に回転をコンパクトに行う練習方法として壁を使った練習方法があります。
壁を横にして構え、壁側に回転して後ろ蹴りを蹴る方法なのですが、膝を大きく抱え込んで振り回すように蹴ってしまうと壁に蹴り足の膝が激突して痛い思いをします。
蹴り足は振り回さず、むしろ軸足の膝を親指がかすめるくらいにコンパクトに蹴ったほうが力が一点に集約され、スムーズな回転ができるようになります。
後ろ蹴りは回転技ではありますが蹴り足の軌道は直線です。横に大きく膝を抱え込んでしまうと相手に簡単に背後を取られてしまい、一気に不利な状態に陥りますので自分のお尻に蹴り足の踵をくっつけるイメージでコンパクトに膝を畳みましょう。
余談ですがITFには回転横蹴りという技が存在しますがこれは後ろ蹴りと同じ技ですので割愛させて戴きます。
2. 後ろ蹴りの実戦運用
さて、上記では踵落としの練習方法について説明しましたが、今度は実際に試合で使うためのポイントについて説明します。
回転技の基本はカウンターになりますので、後ろ蹴りが最も使いやすい局面を紹介します。
1.前足の蹴りに後ろ蹴りを合わせる
回転技は自分から攻めたい時にはあまり多用しません。なぜならほんの一瞬ですが相手に背中を向けてしまうため相手が視界から消えたり、背後を取られて不利になってしまうからです。
そこで相手の蹴りに合わせたカウンターでの使用がメインになります。
相手が前足の横蹴りや前廻し蹴りで間合いを詰めてきた場合、相手の蹴りに合わせて後ろ蹴りを中段、もしくは上段に合わせます。
この時相手が蹴り始めてからでは相手の蹴りで自分の回転が止められてしまいますので、相手が動いた瞬間にはもう背中を向け終わっているように素早い回転を心がけましょう。
2. 蹴りがかわされた場合のフォローとして蹴る
回転技の基本はカウンターとして相手の攻撃に合わせるのがコツですが、自分から仕掛けた攻撃をかわされた場合に素早く繋げる事で隙を減らす方法があります。
例えば相手に左の廻し蹴りを蹴ってステップバックなどでかわされた場合、相手はポイントの取りやすいお腹側を狙って左の廻し蹴りをカウンターで入れてくることが多いです。
そこを予測して、相手のカウンターに自分の後ろ蹴りを合わせてしまいましょう。こうすることで蹴った後の無防備な隙を消せますし、相手のカウンターを誘って自分のカウンターを合わせる高等テクニックにもなります。
試合を重ねていくうちに「この攻撃にはこの技を合わせてくるな」「こっちに踏み込めば相手はこの攻撃を出してくる」などある程度予測が立てられるようになってきます。そうなれば貴方のテコンドーレベルはかなり上がっているでしょう。
相手の2手、3手先を読んで回転技でカウンターを合わせられるようになってくればポイントにボーナスも加算されますので自分が追い詰められた不利な状況から逆転を狙っていくことも可能になります。
以上がテコンドーにおける後ろ蹴りの練習方法とコツ、試合で実際に使うためのポイントです。習得の難しい回転技も地道に練習すれば必ず上達します。
ご清聴ありがとうございました。
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