手刀下段受けは下段受けの応用です。
下段受けは拳を握った形で行ったのに対して、手刀下段受けは下段受けを手刀で行います。下段受けが剛の受け技なら手刀下段受けは柔の受け技といえるでしょう。
手を開いているため力の緩急をつけやすく、力みを抜きやすいのです。
今回は手刀下段受けの基本練習、実戦での意味を理解した上達方法を述べていきます。
1. 手刀下段受けの基本練習
手刀下段受けは主に前蹴りを捌くための基本の受け技ですが、手を開いた手刀の形であるため脱力を意識しやすく、技の緩急を覚えやすいでしょう。
下から角度をつけた攻撃を叩き落とすために多用されますが、実は実際の試合の中でも相手がラッシュで攻めてきた場合、捌きながら回り込んだり、クリンチに応用させてラッシュを中断させたりと応用が利きやすい受け技でもあります。
ここでは手刀下段受けの基本練習と上達のコツについて解説します。
1. 力を0から100へ一気に持っていく
手刀下段受けは下から腹部を狙って飛んでくる前蹴りや金的蹴りを捌くための防御です。勢いのついた蹴りを叩き落とすには瞬間的に力を入れる体の使い方が不可欠です。
手刀下段受けをうまく決める練習、コツは拳を握った受け技よりも少しだけ意識が難しいです。しかし、これができるかできないかでは受けの精度やキレを左右するほど重要な要素です。
それは「腕にこめた力を0から100へ一気にもっていく」ことです。
初心者の方はこの力の緩急がとても緩慢で、0から10、20、30…と緩やかな加速になってしまうためキレがいまいち出ないというパターンに悩まされることが多いようです。
練習では0から徐々に加速するのではなく、力を抜いて初速度が0の状態から重力を使って一気に100までもっていくイメージを強く持ち、スピード感を大切にしましょう。
テコンドーの型の動作では脱力から力を瞬間的にこめる体の使い方を重視しているので、緩慢な加速ではなく、0から100へ一気にもっていく急加速を意識しましょう。
これは攻撃にも言えることで、蹴りを出す時も軸足を回してから蹴り足を抱え込んで、足を放って…とやるのではなく、蹴り足で地面を蹴ったら一気に加速して相手に蹴りを届かせるくらいのつもりで構えた状態の0から技をマックススピードの100まで一気に持っていきましょう。
型や受け技の緩急は組手でも通じるので覚えましょう。
2. 手刀下段受けの実戦運用
さて、上記では手刀下段受けの基本練習について説明しましたが、今度は実際の意味を考えた上達のコツについてのポイントについて説明します。
テコンドーは武道でもありますので型の動作はすべてルールのない実戦に通じています。つまりテコンドーの基本動作は実戦に基づいた意味があるのです。そこを理解すると上達が一気に早まります。
1. ステップと組み合わせることで戦術の幅を広げる
上記では手刀下段受けの基本練習について述べましたが、型にも実戦にも通じる最大の秘訣について説明します。
力の使い方は基本的には下段受けと同じですが、ここでは実戦につながる応用を述べさせていただきます。
それは「柔の受け技とステップを組み合わせることで立体的な防御を行う」というものです。
実戦では相手も動きますのでその場で棒立ちのまま受けては相手の攻撃が伸びてきた場合、ガードをすり抜けてヒットするなんてことになりかねません。
そこで受けながら横に回る、距離を調節するといったようにステップと組み合わせることで戦術の幅がより広がるのです。
相手の攻撃を捌きながらステップを行う癖をつけておけば自分より20kgほど重い選手が相手でも恐れることなく、有利なポジションをとることができます。
体格差で負けてしまうという選手は手刀下段受けをステップと組み合わせて行ってみて下さい。まずはそこが基本練習となります。
以上がテコンドーにおける手刀下段受けの練習方法と上達のコツです。手刀下段受けは柔の受け技ですので、力の緩急と脱力を意識して練習しましょう。ご清聴ありがとうございました。
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