約束組手とはテコンドーの稽古の一つで決められた手順で技をかけあう組手の事です。
道場のスパーリングは自由組手と言って、自由に技をかけあうのですが、約束組手は「相手の中段突きを外受けで捌いてから上段突きで返す」「中段前蹴りを下段払いで受け流して上段へ廻し蹴りを決める」など
あらかじめ限定された技や手順で攻撃と防御を行います。
今回は約束組手の練習方法と上達のためのコツを解説します。
1.約束組手の基本
約束組手はテコンドーのみならず、空手やキックボクシングでも形を変えて取り入れられています。
例えば「相手のワンツーをガードしてすぐにこちらはストレートを返す」「ローキックを脛受けでガードしてからハイキックを返す」などですね。
ではテコンドーにおける約束組手の基本を紹介します。
1. 攻撃よりも防御を意識する
約束組手は「あらかじめ打ち込んでくる技が分かっている状態」で行います。その目的は「攻撃よりも防御に対する意識を高める為」なのです。
例えば相手が右の突きを打ち込んできた場合、外受け、内受け、バックステップ、サイドステップなど様々な防御方法があります。そこからの反撃も無数にあります。
向かってくる攻撃に対して早すぎず、遅すぎず、適切なタイミングで防御をする練習を何度も繰り返し行う事で防御のタイミングを体で掴むのです。
防御のコツとして私が練習時に意識しているのは「相手の手足が刃物でできている」とイメージすることです。
テコンドーはポイント制です。つまり当てられたら負けの競技なんです。そのため攻撃以上に相手の攻撃をもらわないだけの防御意識が重要になります。
そこで相手の手足がナイフでできている、くらいの緊迫感をもって防御をしてみましょう。速すぎれば防御が空ぶった瞬間に刺されますし、遅すぎても刺されます。
速すぎず、遅すぎない理想の防御タイミングを掴むうえでも約束組手は非常に有効なのです。
2.約束組手を自由組手に生かす
テコンドーの約束組手の基本は決められた手順の攻撃と防御を体に溶け込ませるための稽古であることはご理解いただけたでしょうか。
約束組手で防御の適切なタイミングを掴んだら、今度は自由組手に生かしましょう。
ただし、約束組手の動作はそのままでは自由組手に使えません。
なぜなら「約束組手は攻撃を受けてから反撃する」という手順が前提となっているため、受けてから攻撃するのでは実際の試合では遅すぎるのです。
この章では約束組手の動作を試合に生かすための上達のコツや練習方法を紹介します。
1.約束組手をベースに自由に動く
約束組手と自由組手の違いは「攻撃と防御の手順があらかじめ決まっているか否か」という点です。実際の試合では当然ですが相手は予定通りの動作をしてくれません。
ステップが重要なテコンドーの場合、相手は足を止めることなくステップしているでしょうし、フェイントを交えて予想外の角度から攻撃を仕掛けてくることだってあり得ます。
そんな相手にいちいち決められた手順で防御してから反撃、などと律儀にやっていてはまず当りません。
そこで、「約束組手で学んだ防御のタイミングを活かして実戦では自由に動く」ことを意識しましょう。
例えば「右の中段蹴りをガードしてから胴へのパンチで反撃する」という手順の場合、受けてから反撃ではなく「ガードしながら斜め前に出て突きを決める」という動作にアレンジしましょう。
つまり「防御と反撃を同時に行う」のがポイントです。
さらに言えば、防御できるのであればそのタイミングでカウンターを合わせることが可能なのです。
相手の蹴りを膝でガードできるのであれば、そのタイミングで横蹴りや上段蹴りを合わせる事だって可能なんです。
受けてから反撃では遅すぎます。約束組手で学んだ防御のタイミングでカウンターを合わせてしまいましょう。
このように約束組手で学んだタイミングをベースに実戦では自由に動く。といった考え方が重要になります。
以上がテコンドーにおける約束組手の練習方法と上達のコツ、試合で実際に使うためのポイントです。約束組手は「タイミングを養うもの」です。その動作をベースに実戦では臨機応変に動きましょう。ご清聴ありがとうございました。
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