横蹴り。それはテコンドーにおいて最も使用頻度が高く、最もリーチの長い蹴り技とされています。
私も試合で横蹴りをかなり使いますし、相手の懐に飛び込む時もカウンターで相手の攻撃を止める時も有効な万能技であると確信しています。
今回は蹴りのジャブともいわれる万能技である横蹴りを貴方も身に付けてみませんか。
1. 横蹴りの基本的な蹴り方とポイント
横蹴りの長所は「射程距離の長さ」「到達スピードの速さ」「威力の高さ」の3つに集約することができるでしょう。
前蹴り同様に直線的な技なのですが腰を深く入れる為、前蹴りでは届かない距離の相手にも攻撃を当てることができる利点もあります。相手の懐に飛び込むための布石としてぜひとも身に付けておきたい蹴りですね。
では、上記の横蹴りの特性や強みを踏まえた上で、基本的な蹴り方とポイントについて解説していきます。
1. 膝を高く素早く抱え込む
蹴り技において最も重要な基本は「膝を高く抱え込む」動作です。特にテコンドーではお互いの横蹴りが交差する場面も頻繁に見られるため、膝の位置が低かったり下から振り上げるように蹴ってしまうと相手の蹴り足にブロックされてしまいます。
蹴り足の膝は自分の肩や胸に付くまで高くコンパクトに抱えましょう。
抱え込んだ膝を槍のように真っすぐ相手に突き出します。当てる部位は踵の一点です。
前蹴りでは「椅子を使った練習方法」を解説しましたが、横蹴りでは自分の横方向に膝を高く抱え込む練習方法として腿上げがあります。
試合で使う頻度の高い横蹴りで大切になってくるのは膝を抱え込むスピードですので、腿をしっかり抱え込む練習を積み重ねましょう。
まずは片足ずつ20回連続で腿上げ。スピードと高さを意識して自分の肩目がけて膝を上げ続けましょう。この時バランスを保つのが難しい場合は壁やバーに手をついて体を支えても構いません。
慣れてきたら左右の足をリズミカルに入れ替えたり、何も支えのない状態で実際の横蹴りに近い形で行えるとベストです。
2.瞬間的に腰を逆方向に捻る事で貫通力を上げる
横蹴りは元々全身の力をダイレクトに伝えることのできる威力の高い技ですが、さらにコンパクトで隙の少ない蹴りにするためのコツがあります。
それは「蹴り足と逆方向に腰を捻る」方法です。
テコンドーには「反動力」という力の使い方があり、蹴り足と逆側の手(右足で蹴る場合は左手)を引く事で蹴り足の進行方向に対して逆方向にブレーキをかけます。こうすることによって全身の力をピンポイントに集中させることができるのです。
この方法はティッチャギ(後ろ蹴り)やティフリギ(後ろ廻し蹴り)などの回転技において蹴り足を加速させてより見切られにくく、精度を上げるためのテクニックとして多用されているため早い段階で身に付けておきましょう。
横蹴りは回転技に入る前の基本の技です。
2. 横蹴りの実戦運用
さて、上記では横蹴りの基本とコツについて説明しましたが、今度は実際に試合で使うためのポイントについて説明します。
横蹴りは距離を一気に詰めたいときや遠くの相手に攻撃を当てるための初撃として非常に多用されるので実際の使いかたを覚えて組手でチャレンジしてみて下さい。
1.前足の横蹴りは相手との間合いを詰める時に使う
前足の横蹴りは相手とのファーストコンタクトに多用されます。いわば相手に攻撃を当てるための基本となる技です。
遠距離から間合いを詰める技はたくさんありますが、私の場合は軸足をスライドさせたノーモーションの横蹴りを攻撃の起点とすることが多いです。
コツは両膝に無駄な力をいれないように常にバネを意識してリラックスする点と、もう1つは蹴り足を上げてからスライドではなく「蹴り足を上げる勢いでスライド」するのがポイントです。
小さく連続して蹴る事で間合いを詰めるやり方もありますが、慣れないうちは体の使い方を覚えるためにできるだけ長い距離を移動できるように心がけましょう。
蹴り足を抱える力を軸足の推進力に変える感覚を掴むことができたのなら、相手にプレッシャーをかけながらファーストコンタクトを当てられるので試合の展開を有利に持っていくことができます。
軸足をスライドさせる蹴り方は是非ともマスターしましょう。
2. 後ろ足の横蹴りは廻し蹴りからのコンビネーション
次は後ろ足の横蹴りです。前足に比べるとモーションが大きく使用頻度は少ないのですが、単発ではなくコンビネーションに組み込む方法は試合でも使いますので覚えておいて損はありません。
後ろ足の横蹴りは蹴り終わるまでのモーションが廻し蹴りと非常に似ているため、フェイントとして非常に優秀です。ただしモーションの大きさから当たるまでに時間がかかりかわされやすい欠点があります。
そこで単発で蹴るのではなく廻し蹴りからのコンビネーションに組み込むと使い勝手が格段に上がります。
まずは後ろ足からの廻し蹴りを数発入れることで相手に強い廻し蹴りを意識させます。相手が廻し蹴りのモーションに反応してガードを横に寄せた場合、空いている正面に横蹴りを当てましょう。廻し蹴りをバックステップでかわされた場合の追い打ちにも有効です。
初動が全く同じなので事前に廻し蹴りを意識させることで一種のフェイントにもなり、相手を混乱させることができます。後ろ足からも蹴れるようになりましょう。
以上が横蹴りの基本とコツ、実践運用の解説です。
ご清聴ありがとうございました。
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