胸式呼吸は腹部を使う腹式呼吸とは異なり胸部を使う呼吸です。普段、無意識で行なっている呼吸も胸で行う胸式呼吸ですが、意思的に行うと強度のある呼吸となります。
アシュタンガヨガ、パワーヨガといった動きのあるヨガやピラティスなどは胸式呼吸を採用しています。
1.胸式呼吸のメカニズム
胸式呼吸は肋骨を呼吸によって大きく広げたり収縮させます。この為、腹式呼吸は吸う息で腹部が膨らみ、吐く息で腹部が凹むのに対し、胸式呼吸は吸う息で胸が膨らみ、吐く息で胸が凹むといったイメージとなります。
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2.胸式呼吸の効果
胸式呼吸は交感神経を刺激します。リラックスする呼吸とは異なりますが、集中力が増し、頭がスッキリします。
また、腹部を引き上げたまま呼吸をするので、腹部の筋肉に働きかけるのでインナーマッスルの強化の手助けをします。
さらに、意識的に胸部を使うので肺活量が上がり酸素を吸収する力が高まり、代謝を良くする作用も促します。
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3.ウジャーイ呼吸
アシュタンガヨガやパワーヨガといった動きの多いヨガでは、胸式呼吸の一つウジャーイ呼吸で行います。
ウジャーイ呼吸は、お尻を締め、腹部を引き上げた状態で、肋骨を広げたり収縮したりして行います。この為、かなり強度のある呼吸となりますが、より、集中力を高め代謝を良くします。
アシュタンガヨガではバランス系のアーサナ(ポーズ)や難易度の高いものが多く、かなりの集中力が必要となるので、ウジャーイ呼吸のような強度のある胸式呼吸が必要となってきます。
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4.ウジャーイ呼吸の仕方
では、ヨガで行う胸式呼吸、ウジャーイ呼吸の仕方を見ていきます。
床に腰を下ろし、胡坐(あぐら)でも、正座でも良いので、自分の好きな座り方で座ります。
お尻を引き締めて引き上げるようにすると、腰がすっと上部に上がっていきます。そのまま背筋を整えていきます。背筋がスーッと伸びたら頭のてっぺんを天井にまっすぐ向けるようにして首の上に頭を乗せ、肩の力を抜きます。
一旦、息を鼻から吐きます。吸う息を鼻から通して喉の奥を通り胸に広がっていくイメージで吸っていきます。この時鼻の奥と喉で呼吸の音が風のように鳴っていきます。吐く息も同じ軌道、胸から喉、鼻を通してゆっくり長く吐き出していきます。一気に吐き出さないように気をつけます。
呼吸を鼻、喉、胸部に通す感覚が分かるようになったら、次は吸う息で腹部(みぞおち辺り)を上へ引き上げながら、さらに胸部を広げていきます。吸いきったら、お腹を引き上げたまま、ゆっくり、なるべく細く長く鼻から吐いていきます。一気に吐いてお腹が緩んで膨らまないようにします。「ゆっくり細く長く吐く息」がポイントです。
しばらく続けたら、普段の呼吸に戻して、ウジャーイ呼吸を始める前と、行なった後の身体や心に変化を観察していきます。頭がスッキリしたり、芯が定まりドンと腰を下ろした安定感などが感じられることがあります。
ただし、ウジャーイ呼吸は、なかなか自分自身での練習では習得するのが難しい高度な呼吸法となりますので、ヨガのクラスなどで適切な指導者から直に学ぶことをお勧めします。
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