スポーツは本来、誰でも楽しくやれるようにというのが理想です。
スキーも同じく、体のハンディを持っている方も楽しめるように開発されたのがチェアスキーです。
新しい楽しみとしてチャレンジしたり、事故により絶望の淵のアスリートを復活させるものにさえなるのです。
万人に愛されて楽しめてこそ、スキーの存在価値はそこにあるのです。
1.数ある障がい者スポーツのひとつ
チェアスキーは、1970年代にアメリカにて誕生しました。
『チェアスキー』とは和製英語で、もともとは『バイスキー』という、ひとつの椅子に2本の板がついたものでした。
アルペン用として開発されたチェアスキーですが、2本板は曲がるのが困難です。
そこで開発されたのが1本板の『モノスキー』です。
モノスキーの誕生により、競技として急激に進化したチェアスキーは、1984年、インスブルックパラリンピックにデモンストレーションとして登場しました。
(当時はオリンピックとパラリンピックは同都市開催ではなく、この年に行われた冬季オリンピックはサラエボオリンピックです。)
パラリンピックの知名度が上がり、競技自体もメディア露出が増え、チェアスキーの可能性を広げたのは言うまでもありません。
2.タイミングが地位を確立したチェアスキー
日本での『はしり』は、神奈川県の福祉団体がレジャーとして開発を始めたのがきっかけです。
そうこうしているうちに冬季オリンピック・パラリンピックの開催が長野県に決定しました。
それを機に、メダル獲得のために産学官共同でチェアスキー開発を行ったことが今の実績につながっています。
そう、日本はチェアスキーでメダルたくさん獲っているんです!
そもそもパラリンピックの日本選手は、どの競技でもメダルの期待がかかる選手がそろっているのですが、ことさらスキーに関しては日本の医療機器や工業技術の高さというのも一役買っています。
「日本は先進国だからある意味道具ドーピングなんじゃないの?」という意見もあるかもしれませんが、『垣根を越えられる環境がある』というのが日本の強みなのだと考えます。
チェアスキーのギモン『リフトにはどうやって乗るの?』
チェアスキーは、座り姿勢がけっこう低いので、「やっぱり補助の人がいつもついているの?」と思われがちですが、実は一人でもリフトに乗れる仕組みになっています。
座面が高くなるレバーが付いていて、それを引くとガゴン!とリフトの高さに上がります。
もちろんリフトの係員さんが手助けしてくれますが、チェアスキーも普通のスキーと同じように自分の力で十分に楽しめるものなのです。
まれにスキー場などで体験会を開催するときがありますので、機会がありましたら乗ってみるのはいかがでしょうか。
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