テコンドーの代名詞は何といっても華麗な蹴り技。鮮やかなハイキックには誰もが一度は憧れるものです。
そんな憧れの蹴り技のために必要となるのが「テコンドーストレッチ」による柔軟性です。
1.毎日続ける事が上達の近道
テコンドーの試合では回転蹴りやかかと落としなど思わず見とれてしまうような高い蹴りが飛び交いますが、誰もが最初から足が高く上がるわけではなく、毎日の地道なストレッチで少しずつ柔軟性を身に着けていったのです。
柔軟やストレッチと聞くと相撲や体操選手が行う股割りのイメージから痛くて苦しい練習だと誤解されがちですが、テコンドーストレッチは「体に無理がなくて気持ちいい」のです。
人は苦しい練習ばかりでは潰れてしまいますが、気持ちいい練習は毎日続けたくなります。積み重ねていくうちに足が自然に上がるようになり、テコンドーが楽しくなります。
テコンドーが楽しくなると練習も楽しくなり、どんどん上達していくのです。
では、毎日続けるためのコツとは何でしょうか。
最終的には、それぞれ自分に合った方法を見つけるしかないのですが、参考までに私の方法を3つお伝えしますので、一度試してみて下さい。
1. 無理に伸ばさない
まず、最も大切なのは絶対に無理をして伸ばさないことです。先ほども述べましたがテコンドーストレッチは無理なく気持ちのいい練習です。初心者の方がよく勘違いされるのですが「痛みを我慢して限界まで伸ばす」ストレッチは、技術面でも健康面でも逆効果なのです。
そもそもストレッチに痛みを感じるという事は体が「それ以上伸ばしてはいけない」と危険信号を送っているからなのですから、無理に伸ばせば筋肉を痛めて怪我で練習ができなくなります。
テコンドーは全身の力を抜いた構えから素早く瞬間的に技を繰り出す技術体系の性質上、リラックスが非常に重要です。ストレッチも体の力を抜き去り、決して無理をせず「気持ちいい」と感じる強度が最も効果的なのです。
2.いきなり伸ばさずゆっくり動く
次に重要なのがいきなりストレッチに移るのではなく、15~20回ほどゆっくりと動いて関節や筋肉を緩める事です。
日常生活であまり使わない筋肉や酷使している筋肉を初めから伸ばそうとすると体がびっくりしてしまい、効果が半減してしまいます。
そこでゆっくり大きく足を振り上げたり、腰や股関節を回すことで全身の隅々まで血液を循環させて柔らかく緩めることで筋肉を伸ばす準備をしてあげるのです。
テコンドーの練習前によくウォーミングアップとしてもも上げやジャンプなどの動的なストレッチを行いますが、身体を温めることで筋肉の無理な伸びを防いで怪我を防止する目的があります。
はじめはゆったりとした動的なストレッチで血行を良くしてから静的なストレッチに移行すると効果が最大限に得られるだけでなく、けがをしにくい身体作りにも有効です。
3. ポジティブなイメージを強く持つ
三つ目は、「こうなりたい」とイメージを強く持つことです。
筋トレでも「理想の身体をイメージすると効果が出やすい」と言われるように、ストレッチもまた「憧れのハイキックを蹴れるようになりたい」「180°開脚ができるようになりたい」と具体的なイメージを強く持つことで、効果が格段に跳ね上がります。
ポジティブで明るい目標を持つことでモチベーションを高く持ち続けることができます。
高いモチベーションを維持する事こそが上達のポイントであり、毎日続けるための秘訣でもあります。
2.縦と横の柔軟性をバランスよく鍛える
ここからは具体的なテコンドーストレッチの基本を解説していきます。
テコンドーで大切な柔軟性は大きく分けて「縦の柔軟性」と「横の柔軟性」の2つです。
縦と横の柔軟性を毎日バランスよく鍛え続けることでキレのある技と怪我のしにくい柔軟な身体を手に入れることができます。
縦横のどちらかだけでは、身体に無理がかかるだけではなく技に悪い癖がついてしまい後の上達に悪影響がでてきます。
テコンドーストレッチのやり方はたくさんあるのですが、まずは基礎の基礎として毎日取り組みやすいメニューを1つずつ取り上げて行きます。
1. 縦の柔軟性を鍛える
まずはかかと落としや後ろ回し蹴りで必要になる縦の柔軟性です。いきなりストレッチに移る前に足を前後にゆっくりと振り上げます。15~20回を目安に太ももの付け根から大きく振り上げて関節の可動域を広げましょう。イメージは振り子です。
上記のウォーミングアップを終えたらいよいよストレッチに移ります。
ベッドや畳の上にあおむけになり伸ばしたいほうの足の踵に帯をひっかけます。タオルで代用しても構いません。
ひっかけた帯やタオルの端を持ち、ゆっくりと引き寄せてハムストリングスを伸ばします。
この時、自力で足を上げるのではなく「足の力を抜いてタオルで引き寄せる」のがポイントです。
タオルを引く力で「気持ちいい」と感じるところまで20秒間伸ばします。
2. 横の柔軟性を鍛える
次に横蹴りや蹴上げで必要な横の柔軟性です。縦のストレッチと同様にまずはウォーミングアップから入りましょう。足をゆっくり横に振り上げるのですが、横蹴りのように膝をしっかり抱え込んでから振り上げましょう。
そうすることで試合でも高い蹴りを出せるようになり、例え相手と横蹴りの応酬になっても自分の攻撃だけを的確に当てることができるようになるからです。
関節を緩めたらストレッチに移りますが、初心者の方向けに四股ストレッチを解説していきます。
基本のやり方として足幅を肩幅の1.5倍ほど広く取り、20秒間腰をを落とします。ちょうど相撲の四股を踏むイメージです。この時膝を曲げるのではなくしっかりと「腰から沈む」イメージを持ちましょう。
初めのうちはこの2つのメニューを中心に縦横の柔軟性のバランスを整えていき、慣れてきたら開脚や上半身のストレッチもメニューに加えていきましょう。
以上がテコンドーストレッチの基本になります。ご清聴ありがとうございました。
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