掌底は手のひらの中でも手首に近い比較的固い部位であり、顔面攻撃においては手を開いているため拳よりも回転が速く、面の攻撃であるため脳へ効果的にダメージを与えられる優秀な打突部位です。
テコンドーでも型の中では両手による掌底突きなどで登場する他、防御でも掌底受けが存在します。掌底の使い方にも、上達のためのコツや正しい練習方法が存在します。
今回は掌底の基本練習、実戦での意味を理解した上達方法を述べていきます。
1. 掌底の基本練習
まず自分の手のひらを見てください。真ん中の部分は柔らかいですが下へたどり、手首に近くなると固くなっている部位がありませんか?そこが掌底です。
文字通り手のひら(掌)の底に当たる部分ですね。
この掌底を効果的に使いこなすにも正しい練習と動作の意味を理解すると上達が早まります。
では掌底の基本練習と上達のコツについて解説します。
1. 掌底は手首を真っすぐ突き出して当てる
掌底を当てるときにまず初心者にありがちなのは、手のひら全体で攻撃してしまうことです。これではビンタと大して差がありません。面の攻撃であるとはいえダメージは期待できないでしょう。
掌底を打つときのポイントは手首、肘、肩の3点が一直線に並ぶようにして、手首から真っすぐぶつけに行くイメージです。決して手のひらを当てようとしてはいけません。むしろ「自分の手の平がない状態で手首を真っすぐ突き出してぶつける」イメージで打つとうまくいきます。
掌底は面の攻撃なので当ててからの押し込みがある程度必要です。顎に当てたら頭蓋骨の後ろまで打ち抜くようなイメージで当てにいきましょう。
ただし当てたらずっと押しっぱなしではなく打ち抜いたら素早く引く動作も必要です。打ちっぱなしでは隙を晒してしまいます。ジャブや前廻し蹴りと同じように「打ち抜いたら引く」癖をつけましょう。
2. 掌底の実戦運用
さて、上記では掌底の基本について説明しましたが、今度は実際の意味を考えた上達のコツについてのポイントについて説明します。
テコンドーは武道でもありますので型の動作はすべてルールのない実戦に通じています。つまりテコンドーの基本動作は実戦に基づいた意味があるのです。そこを理解すると上達が一気に早まります。
1. 掌底は内面に攻撃を浸透させるのに特化した攻撃
上記では掌底を打つときの力を一点に集約する基本について述べましたが、実際に拳槌を当てる部位はどこでしょうか。
型の中では両手の掌底で相手の肋骨を狙って打つことでダメージを与える技が確かに存在します。それは「掌底が内面に攻撃を浸透させるのに極めて有効」という特性を持っているからです。
正拳での攻撃はグーの形に握っており、腰を入れないとダメージを効果的に与えられません。さらに腰を深く入れる必要があり攻撃がワンテンポ遅れてしまうのです。顎をピンポイントで打ち抜くだけの高い技量も要求されます。
その点、掌底は手を開いているので回転が非常に速く、テコンドーの型の動作の中でも正拳より顔面に効果的に脳へ「ダメージを与えられる技として認識されています。
掌底を打つ際に型の動作では強く踏み込んでから突き上げる動作がありますが、あれは「相手の足を踏んで不動の状態にしておいてから、顎を掌底で突き上げて倒す」という技なのです。脳にダメージを与えるために工夫を重ねた恐ろしい技といえるでしょう。
掌底の意味を理解すると試合には使わない技ながら、ルールのない実戦では恐ろしく効力を発揮することがご理解いただけるかと思います。
以上がテコンドーにおける掌底の練習方法と上達のコツです。掌底は手のひらの中でも手首に近い部分で当てる面での攻撃であるため、内面に衝撃を浸透させるきわめて効力の高い技である特性があります。型の動作はすべて実戦で使うための意味が含まれていることを理解すると上達が加速度的に早まるでしょう。ご清聴ありがとうございました。
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