正拳。それはテコンドーに限らず打撃系格闘技において最も基本的な手わざの型です。
力のこめ方がわかりやすく基本を学ぶにはもってこいの正拳も、上達のためのコツや正しい練習方法が存在します。
今回は正拳の基本練習、実戦での意味を理解した上達方法を述べていきます。
1. 正拳の基本練習
正拳とはわかりやすく言えば握り拳のことです。初心者の方が本能的に放つ攻撃であるため、比較的習得しやすく、テコンドー以外にもボクシングや空手などの打撃系格闘技の基本技として取り入れられています。
では正拳の基本練習と上達のコツについて解説します。
1. 正拳はうずらの卵を握るように
正拳突きでまず初心者にありがちなのは、最初から強く握った状態で突きを打ってしまうことです。肩や腕に力が入っているとそれだけスピードも切れも落ちてしまいます。
正拳を上手く握るコツは「手の中にうずらの卵がある」と思って柔らかく握ることです。
がちがちに力を籠めるのではなく、優しくリラックスして拳を作った状態から相手に当てる瞬間だけ強く握りこみます。手の中の卵を柔らかく握ってぎゅっと握りつぶすようなイメージがいいでしょう。
実際に卵を握りつぶすわけにはいきませんので、イメージトレーニングとして繰り返し練習しましょう。
技の速さは力の緩急で決まります。最初からがちがちに力んでいては腕の力だけで打つことになり、威力もでませんしスピードが落ちます。
テコンドーではリラックスした状態から瞬間的に力を入れる動作が望まれます。突きでも蹴りでも同じです。特に正拳突きは力を抜いた状態から瞬間的に力を籠める体の使い方を理解しやすいので感覚をつかみましょう。
2. 正拳の実戦運用
さて、上記では正拳の基本について説明しましたが、今度は実際の意味を考えた上達のコツについてのポイントについて説明します。
テコンドーは武道でもありますので型の動作はすべてルールのない実戦に通じています。つまりテコンドーの基本動作は実戦に基づいた意味があるのです。そこを理解すると上達が一気に早まります。
1.正拳は手首のスナップを利かせて打つ
上記では正拳を打つ前の力の緩急について述べましたが、スピードやキレ以外にも理由があります。
それは相手の頭骨に当ててけがをしないことです。
人間の頭部は頑丈な骨がいくつも組み合わさってできています。重要な器官である脳を守るためです。
それに比べて正拳はどれほど鍛えようと細い骨の集合体であることに変わりなく、額に当てたら拳が砕けてしまいます。
実戦で相手の顔面に正拳を打つ場合は「手首を柔らかくしてスナップを利かせる」ことを意識しましょう。
手を洗ったとき、水滴を払うときには手首の力を抜いてプラプラとスナップを利かせて払いますよね。あの感覚です。
初めから固く握りこんだ拳は棒と同じです。固いものに激突させれば自分の拳や手首が折れてしまいます。そこで手首のスナップを利かせて弾くように正拳を打てば固く握りこまないので拳を痛める心配もありません。
柔らかな状態から相手の鼻や顎を狙って打ち込むイメージで日々鍛錬しましょう。
以上がテコンドーにおける正拳の練習方法と上達のコツです。正拳は手わざの最も基本となる形なので、力の入れ方や抜き方を体で理解しましょう。ご清聴ありがとうございました。
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